パニック障害からの回復
パニック障害とは?
パニック障害とはパニック発作を主な症状とするもので、突然に、強い不安、動悸、胸痛、呼吸困難、ふるえ、発汗、めまい等に襲われるもので、時には自分がどうかなってしまうのではないか、死んでしまうのではないかという強烈な不安を伴うことがあります。
パニック発作は、電車・バス・飛行機の中など閉鎖された空間の中で起きることも多く、パニック発作が起きる不安から、交通機関の利用が困難になることも多くなります。比較的症状が軽い場合は、交通機関が利用できない不便はあるものの、その他は普通に社会生活が送れることも少なくありません。一方、症状が強い場合には、パニック発作が起きやすい場面を避けようとするために、家から出るのか困難となりひきこもり状態に至ることもあります。
また、パニック発作が起きる前には、ストレスや過労などの負荷がかかっていることが多くみられます。
本体は強い不安
パニック発作は様々な身体症状を伴うため、救急外来を受診することも多くみられますが、身体疾患ではないため、身体面の診察や諸検査では異常が認められません。パニック発作の本体は、強い不安によるものなので、実際には生命に危険が起きるということはありません。またパニック障害に伴う不安の中身は、『もしパニック発作がまた起きてしまったらどうしよう?』という予期不安が大きいことが特徴です。つまり、客観的にありうる以上に、御本人の中では思い込み的な不安が高まってしまっているということになります。
また、一人だと症状が強く出る場合でも、誰か頼れる人が同伴しているとパニック発作が殆ど起きないようなこともみられることがあります。
パニック障害の治療
パニック障害の治療は、大きく分けて薬物療法と精神療法とがあります。
薬物療法としては、抗うつ薬や抗不安薬を内服することで、パニック発作の症状を和らげることができます。抗うつ薬は内服する場合には毎日続けて服用しますが、抗不安薬は、毎日内服する場合と頓服で内服する場合があります。いずれにせよ、薬は長期間内服を継続するというよりは、症状の激しい時期を過ぎ症状が安定してきたなら、減薬について検討していくのがよいでしょう。
精神療法としては、まずは上記のようにパニック障害に伴う不安は予期不安であることが多く、実際にはそれほど頻度が高い訳ではないことを確認し合う必要があります。思い込み的な不安が強くなってしまっていることになりますので、自分で自分の不安をコントロールすることが可能になるわけです。また薬物療法より症状が安定してきたら、パニック発作を起こしやすい、自分が苦手とする場面や場所(例えば電車に乗る)にあえて出向き、少しずつ慣れるように練習をしていく方法もあります。その際に注意すべきことは、あまり無理をすると不安がひどく高まってしまって逆効果になるため、不安があまり高まり過ぎないようにスモール・ステップで少しずつ慣らしていくのがよいやり方と言えるでしょう。
上記のような方法を組み合わせることによって、パニック障害の症状を改善していくことができます。御自分の状況に合った解決方法を相談していくために、クリニックの受診をお勧めします。
(中 康)