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うつ病・うつ状態からの回復

うつ病とは?

  うつ病とは、精神的な慢性疲労状態を意味します。普通の疲労状態であれば、休養をとったりすることで自然回復をしていくものですが、ある程度以上に疲労が蓄積すると、自力で回復することが困難となり、それがうつ病と呼ばれています。年令を問わず非常に多くみられるみので、多くの方が治療や相談にみえます。

うつ病の症状

  症状としては、不眠や食欲低下が起き、早朝から午前にかけての時間帯は調子が悪く、起床が困難で、何かをしようとする意欲が湧かず、動こうと思っても体が動きません。気分は沈んだり落ち込んだりしていることが多くなり、考えは悲観的な方向にいきやすく、死んだ方が楽じゃないか・死にたい等の希死念慮を抱くことも少なくありません。集中力や注意力は低下し、頭の中で考えがまとまらず、いつまでもグルグルと同じようなことを考え、仕事をしてもミスが目立つようになってきます。人と話すのも、動くのも、外出するのも億劫になり、家にこもりがちになり、起きることさえ困難になり横になって過ごすことが増えてきます。そのような生活の中で、うつの程度が進むと、体重減少が目立つようになることもあります。

うつ病の際に見られる身体症状

  うつは基本的には精神的な疲れなのですが、その症状は、頭痛・胸痛・目の痛み・腰痛・足の倦怠感その他の体の症状として出ることも非常に多くなります。このため、多くのうつ病の方が、初めは心療内科や精神科ではなく、内科・婦人科・整形外科・脳神経外科その他の科を受診されます。しかし受診しても、特に異常は見当たらないということで、後から心療内科・精神科を紹介され受診することになります。

うつ病の薬物療法と療養のしかた

  成人の方のうつ病の治療は、まずは薬物療法によって症状を和らげるところから始まります。たまり過ぎた蓄積疲労は、自然回復が難しく、蓄積疲労を緩和して気力や体力を回復する抗うつ薬、十分な睡眠をとることを助ける睡眠導入剤、気分を穏やかに落ち着ける抗不安薬などを組み合わせることによって、次第に軽快していきます。うつ症状が強い時は、無理に動こうとするのではなく、気力・体力が次第に回復してくるのを待つ必要があります。このような時期に、無理に動こうとしたり、動く訓練をしようとしたりすると、かえって蓄積疲労が増し、うつ症状が悪化することが珍しくありません。うつ症状の回復には、数か月程度時間がかかることが少なくありません。うつ症状が軽いうちに治療を始めれば、仕事を継続しながら治療を行っていくことが可能です。しかし、仕事に出ることが困難な場合には、主治医と十分相談の上、職場に自宅療養が必要との診断書を提出して、しっかり休養をとる必要があることもあります。

回復期に留意すべきこと

  うつ症状が回復にさしかかると、自分では調子がよく動ける感じがしてくるため、それまではやらなかったような行動(外出・家事など)を試みるようになります。しかし動いて翌日にはダウンして寝込んでしまうようなことも起きます。これは、うつ病の回復期によくみられることですので、心配する必要はなく、エネルギーの予備力が増してくるのを待つのが良いでしょう。そのような時には、ダウンして動けなくなることがないよう、日々の生活でやることを無理のない範囲にとどめるようなセルフ・コントロールが大事となります。治療の第二段階のポイントは、そのように、自分自身の限界を越えないように生活の工夫をしていくことにあります。

職場復帰についての考え方

  しばしば議論になるのが、少し調子が良くなった時に、仕事に復帰するかどうかです。仕事を続けられだけ回復していれば、復帰も可能なのですが、少し良くなったからといって焦って職場復帰を急ぐと、蓄積疲労が悪化して再度休まざるを得なくなることもあるので、注意が必要です。

  毎日の生活が、昼寝や横になっていることがなくなり、外出もできるようになり、普段の生活と大差なくなってくるようになれば、職場復帰も可能となります。職場復帰に際しては、必要な場合には、自宅療養期間中に少しずつ職場に出ることを慣らしていくような職場復帰訓練を選択することも良い方法です。

再発予防のためにしばらくは服薬継続を

  普通の生活に戻れた後でも、抗うつ薬は再発予防のためにしばらくは継続して服薬することが必要となります。生活が軌道にのってくるようであれば、主治医ともよく相談の上で、薬を徐々に減らし、やめていくことについての相談が可能となります。但し、自分の限界を越えないようにストレスを調整するようなセルフ・コントロールは継続して必要となりますし、それをうまくやることができるようになれば、うつ病の再発を予防することにもつながっていきます。

薬ではなく相談が中心になる場合

  なお、うつ症状が出ている場合でも、それがその人の抱えている心の悩みに密接に結びついている場合には、薬物療法ではなく、相談や心理療法が治療の中心となることもあります。

10代のうつ状態

  また、10代の思春期・青年期にある方の場合には、うつ病のような症状が出ていても、薬物療法中心ではなく、親離れをして友人と自信をもって関われるようになる方向での相談が治療の中心になっていきます。

  うつ的な症状があると思った場合には、早めの相談をお勧めします。

(中 康)