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大人のADHD

生きづらさの背景にある集中力低下

  これまで何とかやってきたが、どうもいろいろなことをしづらい、物事に集中できない、気が散りやすい、学校や職場でもうまくいかない等、生きづらさに気づくことがあります。

  そのような中でも、うまくいかない背景として、注意力や集中力の低下が中心的な問題になっている場合があります。

忘れ物や物忘れ

  例えば、以前から忘れ物が多い、大事な物をなくすことが多い、人から言われたことを忘れてしまう等で悩んでいる場合があると思います。そのような場合に、何とかしようとして、人から言われたことをメモしないと忘れてしまうようなことがあります。また、忘れないようメモをとってもメモがどこにあるかわからなくなるとか、メモをなくしてしまう等の悩みを抱えている方もいます。そして、例えば学校で配布されたプリントがどこにあるかわからなくなる、片づけや整理整頓が苦手、部屋や鞄の中はいつもごちゃごちゃした状態にあることも少なくありません。

気が散って集中できない、なかなかやる気が起きない

10台の方ですと、学校や家での勉強について、集中力が持続しない、なかなか宿題をやるスイッチがはいらない等があります。授業中、短時間で気が散りやすく、集中できず、授業の中身が頭にはいってこないということが起きてきますが、そのような傾向は、あまり関心の持てない科目の場合に顕著になります。一方、生活場面では、周りの刺激で気が散ってしまいやすく、テレビの音や音楽など周りの刺激が多い環境だと、それが気になってしまい、目の前のことに集中できないようなことも起きてきます。仕事や家事の場面では、次々と目に入る様々なことが気になってしまい、あちこちに手を出すのだが、目の前の仕事が片付かないということも起きがちです。

  そのような集中力の低下があると、勉強でも仕事でも、不注意によるミス (うつかりミス) が多くなります。また、好きなことには長く集中できるが、嫌いなこと・興味のないことだと、やる気が起きないということがよくみられます。

遅刻、時間を守れない

外出等の予定があっても、目の前のしたいことに気がいってしまい、短時間何かをするつもりが長時間はまってしまい、予定していた時間に外出できなくなり、遅刻したり待ち合わせの時間を守れなかったりすることも起きることがあります。

心の中に浮かんだことを抑えられなくなりやすい

人間関係では、自分の話したいことがあると、どんどん好きな話ばかりをしてしまい、周囲から浮いてしまうこともあります。そのような中で、思っていることをつい言い過ぎてしまい、人間関係にひびがはいることも起きてきます。あるいは、言いたいことが頭に浮かぶと、ズバッと率直に言い過ぎてしまい、周りが引いてしまうようなことを言ってしまうこともあります。

そのように自分の気持ちや考えが優先になってくるため、順番待ちをすることが苦手という方も少なくありません。

学校よりも仕事場面で表面化しやすい

以上のような傾向が強いと、学校時代はまだ何とかやり過ごすことができても、仕事をするようになると、仕事がうまくいかない・長続きしないということも起きやすくなってきます。そのような状態になると、自分に自身失ってしまったり、自尊心が低下したりというとも起きてきます。

以上のような問題について、自分で気がつくこともあるでしょうが、親しい友人や異性の交際相手から指摘されて気づくことも少なくないように思います。

注意力・集中力低下に気づいた場合には

  これまでに述べてきたような特徴は、診断としては注意欠如多動症(ADHD)に該当するものです。初台クリニックに受診する思春期から成人期にかけての方の場合には、多動傾向はそれほど多い訳ではなく、多動がみられず不注意が優勢な注意欠如症の形をとることがよくみられます。また、少なからぬ割合の方が、得意・不得意のばらつきが大きいという傾向も併せ持っています(自閉症スペクトラム障害ASDあるいはアスペルガー症候群等の傾向)。さらに、注意力・集中力の低下に端を発して、いろいろなことがうまくいいかないために、うつ状態に陥って受診される方も珍しくありません。

いずれにせよ、自分一人で考えたり悩んだりしているだけでは、解決することが難しい問題と言えるでしょう。困っていることについて、医療機関を受診して相談する必要があります。受診した際には、面接を通して細かく困っていることをお聞きし、必要に応じて心理テストを併用し、生きづらさ・やりづらさの背景にある問題を見極めていきます。

注意力・集中力低下に対してできる工夫

生活の中でできる工夫としては、忘れ物をしないよう、大事なものは決まった場所にしまう等のルールを決めることは意味があります。具体的には、下記のような工夫ができるでしょう。

・鞄の中に貴重品を入れておく透明なポーチを活用する。

・貴重品はカバンに紐でつなげておく。

・財布に大きな金額を入れず小銭入れとキャッシュレスにする。

・重要な書類をもらったら入れる決まったファイルを作る。

・メモを保管する場所を決めておく。

・よく目につく所にメモを貼っておく。

・何かに取り組む時は、必要なものだけがあり余計な刺激がない環境を整える。

・何時に次の行動に移るか、時間をあらかじめ決めておく。

・10分~15分程度の短い時間に区切って課題に取り組む。

  また、自分の進路や仕事は、自分に合ったものを選ぶ必要があります。もし、現在取り組んでいることが自分に向かない場合には、より合ったものに取り組めるよう変えられないか、検討する必要があるでしょう。

集中力を上げる薬を活用する

さらに、集中力を改善できる薬を内服するという選択肢もあります。薬がうまく効くと、注意力・集中力が改善し、落ち着いてものごとに取り組むことができるようになります。

注意力・集中力低下で困っている場合はクリニックに相談を

  注意力・集中力については、簡単に人に相談できることでもなく、一人で悩みを抱えていることも少なくないと思います。そのような悩みについて、率直に話し、対応方法についてやりとりすることは、これまでの生活を良い方法に変えていくことにつながります。もし注意力・集中力で悩んでいる方がいらっしゃいましたら、是非クリニックを受診して相談をすることをお勧めします。

(中    康)