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大人の発達障害

発達障害とは?

  大人になってから、それまでは何とかやってきて問題が表面化しなかったが、例えば仕事をする上で困難がある、人間関係がうまくいかない等が大変になってきて、職場不適応などから受診につながることがあります。そのような場合に、診察の中で細かく問診を行い、心理テストも行って調べることで、発達障害の傾向がみつかることがあります。

得意・不得意のばらつきが大きい状態

  個人の中で様々な能力の間に得意・不得意のばらつきがある程度以上に大きいために、勉強や生活や仕事等がかなりしづらい状態になっていることがあります。人によって何が不得意かは違いますが、苦手な領域があると、たとえそれが正常範囲のことであっても、本人にとってはうまくやっていくことがかなり困難になることがあります。そのような状態を、自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群)の傾向として理解することができます。

苦手な領域の具体例

  苦手な領域の具体例をあげると、例えば、耳から聞いての聴覚的な情報把握が苦手な方は、人の長い話を頭に入れるのが苦手だったり、電話が苦手だったり、集団での話し合いの流れについていくのが困難だったりすることがあります。そのような場合には、こまめにメモをとって情報を視覚的に頭に入れたり、耳で聞くよりも目で文章をみて情報を頭に入れるような工夫をすると、効果があることがあります。

また、目からはいる視覚的な情報処理が苦手な方は、目で見て判断するのが苦手なため漢字が苦手だったり、図示されたものや地図、路線図を活用するのが苦手だったりすることがあります。そのような場合には、言葉による説明がついていた方が頭に入りやすくなります。

さらに、長い文を理解するのが苦手で、何を書いているのかが頭に入りにくいという困難を抱えた方や、文章を書くのが苦手な方もいます。

一方、目や手を使っての作業的なことが苦手な方もいらっしゃいます。具体的に言うと、目で見たものをノートに取ったり、課題をこなしていったりする上で、やりにくさが生じてきます。

人によっては、作業手順の順番を頭の中でイメージして段取りを組んだり、スケジュールを立てて取り組んだり、複数の仕事をこなしたり(マルチタスク)、優先順位の判断をすることが苦手な方もいます。そのような場合には、やらなければいけないことをリストアップし、取り組む順番や優先順位を決めたりすることが助けになります。

上記のようなことを背景に、周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなくなったりずれたりするようなことも起きてきます。中には、人の気持を汲んで理解するのが苦手なため、やりとりがうまくいかなくなってしまう方もいらっしゃいます。

以前から続いている悩み

  多くの方のお話を聞いていると、学生時代から、さらにはもっと以前の子ども時代から何らかの不自由を感じてきていた方が殆どです。これまでは、何とか工夫をしながら頑張ってこなしてきたり、あるいは問題があっても周囲の友人がそれを理解し受け止めてくれ問題が表面化せずにきたりした等、様々な経緯があります。

注意力低下を伴うことも

  これまで述べてきたような発達障害傾向に加えて、少なからぬ頻度で、忘れ物が多い、大事な物をなくす、集中力が持続せず切れやすいなど、注意力・集中力低下のサインが合併していることが見られます。人によっては、非常に頻回に忘れ物をしたり、何かに集中しようとしても15-20分位しか集中力がもたなかったり、他のことに気が散りやすかったり、人から聞いたことを忘れやすかったりします。片づけや整理整頓が苦手ということも、よくみられます。忘れないようメモをとっても、メモがどこにいったかわからなくなるというような場合もあります。人間関係面では、どんどん好きな話ばかりしてしまって周囲から浮いてしまうというようなこともあります。以上のような状態を、注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向として理解することができます。

苦手領域や注意力低下への対応

  発達障害の傾向は、その人がもっている特性のようなものですから、治してそういう傾向をなくすということが難しいことになります。そのために、相談を重ねながらその人の得意な領域を活かしながら、苦手な領域があまり出過ぎないようにする工夫を考えて、生活の中で試していくようにします。一方、注意力低下については、集中力をあげるような薬物療法が可能です。以上のようなことを組み合わせて行うことによって、それまでは困難だったことも、よりやすい形にもっていくことができます。

  気になるところがある方は、クリニックを受診してご相談下さい。

(中    康)