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家族がうつ病にかかった時の理解と対応

調子の悪さを感じとる

  うつ状態にある時は、表情が暗く沈んだ感じになり、表情の変化も少なくなります。夜眠れなくなったり、食欲がなくなって食事量が減ったりします。悪い方向の考えばかりが浮かびやすくなるため、話も悲観的になります。動きが少なくなり何事も億劫そうに見えます。ずっと同じ姿勢を続けていたり、横になることが多くなったりしますし、特に午前中を中心に横になって過ごすことが増えます。外出が減り、仕事を休むようになったりし、それまで楽しんでいた趣味や異性にも関心を示さなくなることもしばしばみられます。以上のような症状が、特に早朝から午前にかけて強まりますが、軽症の場合には夕方から夜にかけては結構元気になることがよくあります。しかしより重い症状になると、1日横になって過ごすようになることもあります。

本人の訴えは、額面通り受け止めてよい

うつ状態にある場合、中等度の症状であれば家族が見てわかることが結構ありますが、軽症のうつ状態の場合は、周りからは症状をはっきりとはとらえにくいことがあります。一見した状態よりも、本人はもっと苦しんでいることが少なくありません。そのようなわけですので、本人の訴えは額面通り受け止めた方がよいでしょう。例えば、はた目には普通に睡眠をとっているように見えても、眠りが浅く夜中に目が醒めたりして苦しい体験をしていることは少なくないのです。また、意欲が出ない、何事もするのが億劫だ等といった症状は、表面からはなかなか見えづらい症状と言えます。

とても疲れやすいことを理解する

  不調の時期には、話したり人と会ったりすることさえ億劫になっていることが少なくありません。家族と話すのさえ億劫になります。そのような時は、長話をするのではなく、短い声がけを適度にした方が、本人に不要な負担をかけず、安心感につながります。

仕事や家事の負担を軽くする

十分な休養をとることが蓄積疲労から抜け出していく必要があります。そのために、仕事や家事等の負担を軽減する必要があります。普段本人がとっている役割を、誰かが肩代わりしてあげた方がよいでしょう。過大な期待を抱いて、本人を過度に励ましたり無理に頑張らせようとすると、うつ症状が悪化します。

薬物療法の必要性を理解する

  うつ病は、蓄積疲労がとても強くなった状態で、そこから抜け出ていくためには、単なる休養では不十分で、薬物療法の効果が大きいと言えます。主治医とよく相談して、必要な薬を服用することが回復していく上で、非常に重要です。また抗うつ薬は効果発現に2週間程度かかるため、回復には時間がかかることも頭に入れておきましょう。

周りからせかすことは避け、本人ペースでゆっくり療養

  本人のペースでゆっくりと回復していくのが一番よい回復のしかたです。家族のペースを押しつけてせかさない方が良い結果につながります。早く良く使用として本人を叱咤激励するようなことは禁物です。

出かけるかどうかは本人の意思を尊重する

  本人の回復のために良かれと思って、周りから外出・外食・旅行などを勧めたくなることが多いようです。しこし本人が自宅にこもりがちな時期は、まだエネルギーの充電が十分ではないのです。抗うつ薬が効果を表し、うつ症状が改善してくると、自分から自然に動けるようになってきます。本人が外出等をしぶる場合は、周りから無理に勧めるのではなく、本人の意向を尊重する必要があります。無理に外出等をさせようとすると、その時は無理をすれば動けるかも知れませんが、うつ症状が悪化します。

復職は普通に生活が送れるようになってからがよい

  仕事を休んでいる場合は、復職を急がせない。焦った復職は、再発の危険が高くなってしまうからです。十分に調子を回復し、元通りに生活が送れるようになってから、復職を考えるのがよいと言えます。復職に際しては、ストレスが本人の限界を越えないよう注意や工夫をしながら、長く働き続けることを目指していくのが最もよいやり方です。

良くなってからも再発予防が大事に

  うつ病から回復した後も、うつ病の再発に注意をしていく必要があります。そのためには、仕事や生活で降りかかるストレスが本人の限界を越えないようにするため、日頃の生活の中で疲れや不調をよくとらえながら、セルフ・コントロールの工夫をしていく必要があります。うまくセルフ・コントロールをすることができるようになっていけば、再発に早期に気づいたり、再発を未然に予防したりすることが可能となっていきます。

 (中    康)

新型コロナウィルス(2019-nCoV)の流行に際しての、子どもたちへの心理的援助

WHOの提言を翻訳したものです(原著:Helping children cope with stress during the 2019-nCoV outbreak

子どもは、ストレスに対して、例えば依存的になる、不安になる、ひきこもる、怒りっぽくなる、あるいは動揺する、おもらしをする等、様々な方法で反応します。

お子さんの反応に対して、子どもの支えになるようなやり方で対応しましょう。

子どもは、困難な時期には、大人の愛情や関心を必要とします。子どもに、ゆったりできる時間を確保し、十分な思いやりを示しましょう。

子どもの話をよく聴くことを忘れないようにします。優しい言葉がけをし、安心させてあげましょう。

もし可能であれば、子どもが遊んだりリラックスしたりできるような機会を作りましょう。

可能な限り、親や家族が子どもと近い距離を保つようにし、子どもと親や養育者を分離することは避けましょう。もし分離が避けがたい場合(例えば、入院)、定期的な接触をするようにして(例えば、電話で)、安心させてあげましょう。

可能な限り、普段どおりの日課やスケジュールを守るようにしましょう。一方、新しい環境においては、新しい日課やスケジュールを作りましょう。その中には、学校に行くことや勉強すること、安全に遊んだりリラックスしたりすることを含みます。

子どもに対して、今何が起きているかについての事実を伝えましょう。何が起きていて、病気にかかってしまう危険を減らすためにどのようにしたらよいかについて、わかりやすい情報を提供しましょう。子どもの年齢に応じて、わかりやすい言葉で伝えていく必要があります。

それには、どのようなことが起きうるかについて、安心できる形で情報を提供することも含まれます。具体的には、家族の誰かや子ども自身の具合が悪くなるかも知れないこと、そのような場合にはしばらくの間病院に行かないといけないかも知れないこと、医師が具合を良くしてくれること等です。

(翻訳: 中 康)

関連: 新型コロナ流行に際してのストレスへの対処(WHO提言)

新型コロナウィルス(2019-nCoV)の流行に際してのストレスへの対処

WHOの提言を翻訳したものです(原著:Coping with stress during the 2019-nCoV outbreak

危機的な状況の時に、悲しくなる、ストレスを感じる、混乱する、恐怖を感じる、あるいは怒りを感じる等はごく普通の反応です。

信頼している人と話すことは、あなたの助けになります。友人や家族に連絡をとりましょう。

もし自宅に留まらざるを得なくなった場合には、健康的な生活の仕方を維持しましょう。

具体的には、適切な食事をとる、睡眠をとる、運動する、そして愛する家族とやりとりをする、他の親族や友人とメールや電話で連絡をとる等です。

あなたの気持ちの動揺に対処する方法として、タバコ、アルコール、薬物等は避けましょう。

もし打ちのめされたような気分にとらわれてしまう場合には、医療保健従事者やカウンセラーと話しましょう。もし必要なら、身体的・精神的な健康に関する援助を得るため、どこに行きどのようにすればよいか、計画を立てましょう。

事実を確認しましょう。あなたが、自分にふりかかる危険を正確に判断し、合理的な予防措置を講じることができるようになる助けになるような情報を集めましょう。世界保健機構(WHO)、国、地方自治体のウェブサイトなど、あなたが信頼できる情報源を見つけましょう。

あなたが不安になると感じるような報道を、あなたやあなたの家族が見たり聞いたりする時間を減らすことによって、心配や気持ちの動揺を抑えましょう。

過去にあった困難な状況に対処する際に、あなたの助けとなったような方法を活用しましょう。今回の流行に際して、あなたが、自分の感情の揺れ動きに対処するために、そのような方法を活用しましょう。

(翻訳: 中 康)

関連: 子どもたちへの心理的援助(WHO提言)

うつ病で療養をする際の工夫

 (うつ病の治療の基本については、別コラム「うつ病・うつ状態からの回復」をご参照ください。)

うつ病の療養で何を目指すか

  うつ病で療養をする際に、どのような状態になれば回復なのか、どのような状態になれば仕事に復帰しても大丈夫なのか、迷うことが少なからずあるように思います。

  うつ病の療養の基本は、まずは普通の生活が送れる位に症状が回復することです。うつ病の症状がいろいろ残っている状態で、時期尚早な無理な復職をしようとすると、短時間でうつ病が再燃してしまう危険が高まるため、注意が必要です。

  その際に、よく議論になるのは、治療開始前よりある程度よくなったからよしとするか、自分のベストの状態までよくしていくかですが、考え方としてはなるべく自分のベストの状態に回復するようにした方がよいでしょう。自然回復をゆっくり待つというよりは、薬物療法の力で、あるいは生活の仕方を工夫することによって、よりよい状態にもっていくことが必要です。

疲労が蓄積しないようセルフ・コントロールが必要

  回復期には、自分の中に疲労が蓄積していかないようにセルフ・コントロールが必要になってきます。焦るあまり、無理なスケジュールを自分に課したり、あたかも体のトレーニングをするような厳しい計画を立てたりすることは禁物です。無理をし過ぎると、蓄積疲労が増大してしまい、うつ病からの回復にとってマイナスになってしまいます。

自分の気持ちを大切にする

  セルフ・コントロールをうまく行っていくためには、自分の正直な気持ちを大事にする必要があります。つまり、生活の中で何をやっても構わないのですが、自分がやりたくない・億劫だ・辛い・疲れる等と感じることは避けた方が賢明です。具合の悪い時期には、ごろごろして過ごす、だらだらと過ごす形でも、それが休養につながるので構わないわけです。回復期には、どの程度仕事や家事や身の回りのことを行うのがよいかを、自分で判断していくことが必要になります。例えば、家族や親しい友人が、心配して外出や外食に誘ってくることはしばしば経験しますが、そのような誘いに無理に合わせるのではなく、億劫であれば、断るか先延ばしにした方がよいでしょう。また気分転換に旅行を計画する方もいますが、あまりにも状態が悪い時期は控えた方がよいですし、回復期にはいっても、頭で考えたよりも疲れやすいことが多いため、旅行などは慎重に考えた方がよいかも知れません。もし旅行に行く場合には、予定にゆとりをもち、ハードに動き回る日程は避け、調子が悪ければ、予定を変更して宿泊先でゆっくり過ごしたりできるような計画がよいように思います。

家族に理解してもらう

  回復期には、家族に自分の状態や、何ができて何ができないか等について理解してもらい、うまく回復していけるように協力してもらう必要があります。回復のめざし方について家族と考えが一致しない場合には、主治医の診察に家族にも同行してもらい一緒に対応策を考えるのもよい方法だろうと考えます。また家族関係がストレスになっている場合には、それをどのように軽減していくかも、大事な相談事項になるでしょう。

一人でできるリハビリテーション

  症状がかなり回復してきたら、仕事を休んでいる場合は、復職のために、リハビリテーション的な計画を主治医と相談しながら立てて、「一人リハビリ」をする選択肢もあります。具体的には、自宅から、例えば図書館のようなところに出かけて、午前中数時間、読書や仕事に関係する情報収集などをして過ごして帰って来る。次の段階では、昼食を外で済ませ、午後図書館で一仕事してから帰って来る。午後を、例えばジムや水泳に行くとか散歩に行くとかでも構いません。体を動かすと、復帰に向けての体力もつきますし、気分もすっきりするので、悪くない選択と考えます。

復職のためのリワーク・プログラム

  長い期間仕事を休んでいるような場合には、リワーク・プログラムを活用する選択肢もあります。これは、週に何日か通って復職のための準備練習を集団で行うもので、医療機関、障碍者職業センターなどで実施しています。但し、短期間の休職の場合には、リワーク・プログラムのようなものを利用せずに、復職できることが多いように思います。

産業医との相談

  また復職に際しては、職場の産業医の面談が組み込まれていることもあります。そのような場合には、主治医の診察とは別に、産業医と相談しながら職場復帰を進めていくことになります。

  以上のように、うつ病の療養のしかたには、うつ病の程度によって様々な工夫や方法があります。主治医と十分に相談しながら、ご自分にあった療養方法をみつけていけるとよいと考えます。

(中    康)

大人の発達障害

発達障害とは?

  大人になってから、それまでは何とかやってきて問題が表面化しなかったが、例えば仕事をする上で困難がある、人間関係がうまくいかない等が大変になってきて、職場不適応などから受診につながることがあります。そのような場合に、診察の中で細かく問診を行い、心理テストも行って調べることで、発達障害の傾向がみつかることがあります。

得意・不得意のばらつきが大きい状態

  個人の中で様々な能力の間に得意・不得意のばらつきがある程度以上に大きいために、勉強や生活や仕事等がかなりしづらい状態になっていることがあります。人によって何が不得意かは違いますが、苦手な領域があると、たとえそれが正常範囲のことであっても、本人にとってはうまくやっていくことがかなり困難になることがあります。そのような状態を、自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群)の傾向として理解することができます。

苦手な領域の具体例

  苦手な領域の具体例をあげると、例えば、耳から聞いての聴覚的な情報把握が苦手な方は、人の長い話を頭に入れるのが苦手だったり、電話が苦手だったり、集団での話し合いの流れについていくのが困難だったりすることがあります。そのような場合には、こまめにメモをとって情報を視覚的に頭に入れたり、耳で聞くよりも目で文章をみて情報を頭に入れるような工夫をすると、効果があることがあります。

また、目からはいる視覚的な情報処理が苦手な方は、目で見て判断するのが苦手なため漢字が苦手だったり、図示されたものや地図、路線図を活用するのが苦手だったりすることがあります。そのような場合には、言葉による説明がついていた方が頭に入りやすくなります。

さらに、長い文を理解するのが苦手で、何を書いているのかが頭に入りにくいという困難を抱えた方や、文章を書くのが苦手な方もいます。

一方、目や手を使っての作業的なことが苦手な方もいらっしゃいます。具体的に言うと、目で見たものをノートに取ったり、課題をこなしていったりする上で、やりにくさが生じてきます。

人によっては、作業手順の順番を頭の中でイメージして段取りを組んだり、スケジュールを立てて取り組んだり、複数の仕事をこなしたり(マルチタスク)、優先順位の判断をすることが苦手な方もいます。そのような場合には、やらなければいけないことをリストアップし、取り組む順番や優先順位を決めたりすることが助けになります。

上記のようなことを背景に、周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなくなったりずれたりするようなことも起きてきます。中には、人の気持を汲んで理解するのが苦手なため、やりとりがうまくいかなくなってしまう方もいらっしゃいます。

以前から続いている悩み

  多くの方のお話を聞いていると、学生時代から、さらにはもっと以前の子ども時代から何らかの不自由を感じてきていた方が殆どです。これまでは、何とか工夫をしながら頑張ってこなしてきたり、あるいは問題があっても周囲の友人がそれを理解し受け止めてくれ問題が表面化せずにきたりした等、様々な経緯があります。

注意力低下を伴うことも

  これまで述べてきたような発達障害傾向に加えて、少なからぬ頻度で、忘れ物が多い、大事な物をなくす、収集力が持続せず切れやすいなど、注意力・集中力低下のサインが合併していることが見られます。人によっては、非常に頻回に忘れ物をしたり、何かに集中しようとしても15-20分位しか集中力がもたなかったり、他のことに気が散りやすかったり、人から聞いたことを忘れやすかったりします。片づけや整理整頓が苦手ということも、よくみられます。忘れないようメモをとっても、メモがどこにいったかわからなくなるというような場合もあります。人間関係面では、どんどん好きな話ばかりしてしまって周囲から浮いてしまうというようなこともあります。以上のような状態を、注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向として理解することができます。

苦手領域や注意力低下への対応

  発達障害の傾向は、その人がもっている特性のようなものですから、治してそういう傾向をなくすということが難しいことになります。そのために、相談を重ねながらその人の得意な領域を活かしながら、苦手な領域があまり出過ぎないようにする工夫を考えて、生活の中で試していくようにします。一方、注意力低下については、集中力をあげるような薬物療法が可能です。以上のようなことを組み合わせて行うことによって、それまでは困難だったことも、よりやすい形にもっていくことができます。

  気になるところがある方は、クリニックを受診してご相談下さい。

(中    康)

薬を増やすべき時・減らすべき時

薬をどの程度服用するか

 心療内科や精神科にかかって治療を受ける時に、悩み事の相談と並行して薬物療法を必要とすることも少なくありません。その際に、どのような薬をどの程度服用するかが重要なことになってきます。

薬を増やすべき時

 一言でいうと、精神症状がかなり多くみられ、そのことが御本人の苦痛につながっていたり、日常生活を送ることが困難になったりしている場合には、薬は積極的に増やすべきでしょう。

  例えばうつ病の場合、抗うつ薬をどの程度増量するかがしばしば議論の種になります。受診する前よりも大分よくなったからこれで良いという方は少なくないのですが、元々の元気な自分の状態と比較するとまだまだ調子が悪いということが多く見られます。そのような場合には、抗うつ薬を増量してなるべく普通に生活できる状態に薬で改善させる必要があります。その上で、ストレスの元となった問題にどう対処するか、自分の限界を越えずにやっていくためにはどのようにセルフ・コントロールをしながら工夫したらよいかの相談をしていった方が、回復にかかる時間も短くなります。

  但し、御本人の心の中の悩みが大きく、そのことが継続的にうまくいかない状況を生み出しており、そのことから二次的にうつ的な症状が出ている場合には、あえて抗うつ薬を使わずに心の中の悩み事や葛藤を解決することで、うつ的な症状の改善をはかる場合もあります。

  またどのような診断であっても、睡眠が十分にとれずに辛い場合には、まず十分な睡眠をとることが精神症状の回復にとっても大きなこととなります。不眠が続いている場合は、なかなか気分の落ち込み等も改善しづらいものです。

  さらに双極性障害で躁鬱の波がみられる場合、統合失調症で幻覚・妄想・被害的不安が強い場合にも、積極的に薬を使って精神症状を落ち着ける必要があります。

薬を減らすべき時

 一方、精神症状が落ち着いた状態が続いている時は、減薬について検討する必要が出てきます。

  不眠や不安などの症状が落ち着いてきた場合には、睡眠導入剤や抗不安薬を少しずつ減量していくのが望ましいと言えます。その時に、あまり急いで無理な減らし方をすると、不眠や不安が悪化してしまったり、減薬することへの心配がつのってしまったりして、良い影響を及ぼしません。そのため、主治医と相談しながら、細かいステップを作って、徐々に段階的に減らしていくのがコツになります。

  うつ病の場合には、うつ症状が落ち着いてからもしばらくの間は、再発予防のために抗うつ薬の内服を継続した方がよいでしょう。しかし経過をみる中で、生活が安定しており、以前のようなストレスが軽減する、あるいはストレスに対する対処方法がよりよくてきるようになれば、抗うつ薬を減薬する時期と言えるでしょう。抗うつ薬を減量する時も段階的に減らしていき、急激に減らすとかえって焦燥感(イライラ)等が悪化することもあるので、主治医と相談しながら注意して減らしていくことが必要です。

再発予防のために薬を続けた方がよい場合

  但し、薬をやめてしまわずに、しばらく長期間継続した方がよい場合もあります。うつ症状が長引いている場合、双極性障害の場合、統合失調症の場合などは、なるべく減薬をはかりながら、再発予防のために必要な薬は継続していく必要があります。

薬を減らしたい時は是非相談を

  また、減薬したいという希望をお持ちの場合には、自己判断で中断するのではなく、主治医とよく相談することをお勧めします。主治医からみると、続けることが重要で簡単には減らさない方がよい薬と、症状がおさまれば減らしてもよい薬とがあるからです。処方内容を決めるにあたっては、薬を内服したあとの症状の変化や副作用の有無などを主治医に充分に伝えていくことが大事になります。その上で、主治医と相談を重ね、よりよい処方を工夫していくことをお勧めします。

(中    康)

パニック障害からの回復

 パニック障害とは?

 パニック障害とはパニック発作を主な症状とするもので、突然に、強い不安、動悸、胸痛、呼吸困難、ふるえ、発汗、めまい等に襲われるもので、時には自分がどうかなってしまうのではないか、死んでしまうのではないかという強烈な不安を伴うことがあります。

  パニック発作は、電車・バス・飛行機の中など閉鎖された空間の中で起きることも多く、パニック発作が起きる不安から、交通機関の利用が困難になることも多くなります。比較的症状が軽い場合は、交通機関が利用できない不便はあるものの、その他は普通に社会生活が送れることも少なくありません。一方、症状が強い場合には、パニック発作が起きやすい場面を避けようとするために、家から出るのか困難となりひきこもり状態に至ることもあります。

  また、パニック発作が起きる前には、ストレスや過労などの負荷がかかっていることが多くみられます。

本体は強い不安

  パニック発作は様々な身体症状を伴うため、救急外来を受診することも多くみられますが、身体疾患ではないため、身体面の診察や諸検査では異常が認められません。パニック発作の本体は、強い不安によるものなので、実際には生命に危険が起きるということはありません。またパニック障害に伴う不安の中身は、『もしパニック発作がまた起きてしまったらどうしよう?』という予期不安が大きいことが特徴です。つまり、客観的にありうる以上に、御本人の中では思い込み的な不安が高まってしまっているということになります。

  また、一人だと症状が強く出る場合でも、誰か頼れる人が同伴しているとパニック発作が殆ど起きないようなこともみられることがあります。

  パニック障害の治療

パニック障害の治療は、大きく分けて薬物療法と精神療法とがあります。

  薬物療法としては、抗うつ薬や抗不安薬を内服することで、パニック発作の症状を和らげることができます。抗うつ薬は内服する場合には毎日続けて服用しますが、抗不安薬は、毎日内服する場合と頓服で内服する場合があります。いずれにせよ、薬は長期間内服を継続するというよりは、症状の激しい時期を過ぎ症状が安定してきたなら、減薬について検討していくのがよいでしょう。

  精神療法としては、まずは上記のようにパニック障害に伴う不安は予期不安であることが多く、実際にはそれほど頻度が高い訳ではないことを確認し合う必要があります。思い込み的な不安が強くなってしまっていることになりますので、自分で自分の不安をコントロールすることが可能になるわけです。また薬物療法より症状が安定してきたら、パニック発作を起こしやすい、自分が苦手とする場面や場所(例えば電車に乗る)にあえて出向き、少しずつ慣れるように練習をしていく方法もあります。その際に注意すべきことは、あまり無理をすると不安がひどく高まってしまって逆効果になるため、不安があまり高まり過ぎないようにスモール・ステップで少しずつ慣らしていくのがよいやり方と言えるでしょう。

  上記のような方法を組み合わせることによって、パニック障害の症状を改善していくことができます。御自分の状況に合った解決方法を相談していくために、クリニックの受診をお勧めします。

(中    康)

仕事の休み方・職場復帰のしかた

仕事を休まざるをえない時

  心身の調子が悪い時に、仕事を継続しながら相談や治療を進めることもありますが、時には仕事をしばらく休まなければいけいけないような事態になることもあります。

  例えばうつ病・うつ状態の場合には、抗うつ薬の効果が表れてくるまでに2週間ほどの時間がかかるため、症状が軽減して普通の生活に戻れるまでしばらく時間がかかります。さらに、症状が軽快した後で、職場復帰訓練として徐々に仕事に慣れるよう練習していくことも有効な選択肢になります。

 また適応障害の場合には、仕事を休むと比較的急速に症状が回復していくことが多くみられます。そのため、仕事を休んでいる間に必要なことは、症状を軽くしたり仕事に慣れたりするというよりは、どのようにしたら降りかかってくるストレスに対応できるかについての相談が中心となります。

 復職についての考え方

 いずれにせよ、初めの段階よりも状態が少し良くなったからということではなく、自分の最善の調子を取り戻して復職をすると考えていくのが良いと言えます。このような場合に焦って復職をすると、それによって精神症状が再燃することも多く、二度目の自宅療法を余儀なくされることも、少なくないからです。個人にとっても職場にとっても、最善の調子を取り戻して仕事に復帰をしていくことが一番良いと言えるでしょう。

  まずはいかに最善の調子を取り戻していくかについて、主治医と十分相談をし、治療や職場復帰についての道筋について計画を作る必要があります。この時に、職場や上司の意向をまず優先するのではなく、治療や職場復帰について、医学的にみても妥当な見通しを主治医と十分に話し合うところから始めていく必要があります。

復職に向けての療養のしかた

  職場復帰を順調に行っていくためには、まず普段の生活が普通に戻っていなければいけません。朝起きられない、日中疲れやすく横にならないといられない、昼寝をしないと疲れを回復できない、外出するとすぐに疲れてしまう等の症状がまだ残っている場合には、職場復帰は時期尚早です。また自分の気力や体力が、ベストの自分の調子の7-8割程度まで回復すると、職場復帰に手が届くようになる時期と言えるかも知れません。

職場への復帰のしかた

  職場復帰のしかたは、自宅療養で休んでいた期間が比較的短い場合には、いきなりフルタイムの仕事に復帰することも可能な場合もあります。しかし数か月以上休んでいた場合には、正式に職場復帰をする前に、休みを利用して職場復帰訓練を行うことが多くなります。つまり、勤務上は休み(病気休暇あるいは休職等)の状態になりますが、職場に挨拶に行く、職場に通う練習をする、職場に短時間いる訓練をする、職場にいる時間を徐々に延ばす等の練習を、職場側と相談しながら行っていきます。

 職場復帰訓練の考え方

 どのような職場復帰訓練が適しているかは、その人によって違ってきます。したがって、自分自身に合っていると感じられる復帰計画を作っていくのがよいでしょう。職場復帰訓練の計画ですが、職場側で段階的(週単位等)に職場にいる時間や仕事量を増やしていくような計画を作成する場合もありますが、特に計画が提示されない場合もあります。後者の場合には、主治医と相談しながら自分なりに復帰計画を作ってみて職場側に示しながら訓練を進めるのも一つの方法と言えます。いずれにせよ、自分がこうしたいという希望や意向を職場側に率直に伝えていく必要があります。自分の希望や意向をきちんと表現せず、納得できない気持ちを抱えたまま職場の意向に無理に合わせるような職場復帰訓練では、訓練段階からストレスが不必要にかかってしまうことになります。

  職場復帰訓練を実際に行っていく際には、やってみて予想外に負担がかかり無理だと感じた場合、反対にやってみたら予想外に調子よくこなせて物足りない場合など、訓練の途中で柔軟に予定を変更していくのがよいと考えます。なぜなら、復帰訓練をちゃんとこなすことが目的ではなく、復帰訓練はあくまでも職場復帰のための手段だからです。復帰訓練で疲れたら休んでも構いません。復帰訓練のスピードをゆっくりにしたり早めたり微調整をしながら、復帰訓練をうまく使っていくことができるとよいように思います。そのあたりのセルフ・コントロールの練習は、実際に職場復帰をした後も役に立ちます。

 産業医との相談

 また職場に産業医がいる場合には、主治医とは少し違った判断がなされることもあります。その場合も主治医と産業医の両方とよく相談を重ねながら、復帰訓練を進めていくのがよいでしょう。

一人リハビリの工夫

  また正式な復帰訓練とは異なりますが、自分一人で、職場に通勤する練習をする、半日図書館等に行って何かを読んだり作業をしたり練習をする、それができたら午前・午後とどこかに通う練習をする(図書館・運動ができる施設など)等も、有効な方法のひとつです。職場に慣れる練習にはならないものの、自分なりにどこまでできるか調子を確認したり、日々練習することが心身両面のリズム作りをしたりする上で、効果があります。  職場復帰には様々な道筋があり得ますが、主治医とよく相談しながら自分に一番合った方法を選んでいけると良いと考えます。

(中 康)

適応障害からの回復

適応障害とは?

  適応障害とは、何かショックなことが起こった結果、仕事に行くことができなくなるような心の状態を意味します。職場のこととして言えば、仕事で接する人とのトラブル、上司や同僚とのトラブルなどがあり得ます。

  精神症状としては、不眠・うつ症状・身体症状・出勤困難などが起きることがありますが、比較的急に出現してその内容も移り変わりやすい傾向があります。うつ症状を呈することもありますが、典型的な症状が出揃わないことも多く、仕事を休むことによって比較的症状が軽減しやすいあたりは、うつ病とは違う点です。

適応障害の治療

  治療や対応としては、まずは仕事を休んで、ストレスから距離をとる必要があります。そして精神症状は、休むことによって消失していくことが多く見られます。薬物療法は必要に応じて行いますが、初めは薬物療法を必要としても、仕事を休んで休養する中で薬物療法の必要性も薄れていくことが多くみられます。したがって、継続的な薬物療法が必須というわけではありません。

復職にむけての準備のしかた

  自宅療養期間中に精神症状が全くない状態になることが少なくありません。そのため、リハビリテーションの焦点は、精神症状を軽減することにあるのではなく、復職後にありうるストレスについて、いかに対応していくかにかかってきます。したがって、職場復帰をしていくためには、休職前と同じようなストレス状況に陥ることは回避しなくてはいけないので、自宅療養をしている間に、勤務先の上司などとの話し合いが決定的に重要となってきます。職場で起きているストレス状況について、職場の管理職が、トラブルの相手への働きかけ・職務内容の変更・異動等について、配慮をして対応するかが大きいと言えるでしょう。原則的には、職場復帰に際しては職場を異動しない方が適応しやすいと言われていますが、職場でのストレスが個人の限界を越えるようなものである場合は、異動も選択肢の中にはいってきます。復帰に関する話し合いの中で、まずは自分の率直な希望を職場側に伝えていくことが、とても大事なことになります。そのような話し合いで十分な理解が得られない場合には、復職に関する主治医の意見を職場に伝えていくことも一つの選択肢になります。

職場復帰のタイミング

  職場復帰のタイミングも、例えばうつ病であれば、本人の症状が回復してきた段階で、復帰の方法やリハビリテーションのしかたについて検討することができます。しかし適応障害の場合には、御本人の職場復帰に向けての心の準備と、職場との話し合いいかんによって、期間の長短がでてくるということが起きます。場合によっては、職場の異動が可能な時期を狙って職場復帰を計画する、という形になることもあります。  初台クリニックでは、このような職場復帰の問題について、ご本人と一緒に、どのような職場復帰の形がよいのか相談を重ね、また必要に応じて職場側とのやりとりについても相談や助言を行ったりしながら職場復帰をサポートしていきますので、御相談ください。

(中 康)

うつ病・うつ状態からの回復

うつ病とは?

  うつ病とは、精神的な慢性疲労状態を意味します。普通の疲労状態であれば、休養をとったりすることで自然回復をしていくものですが、ある程度以上に疲労が蓄積すると、自力で回復することが困難となり、それがうつ病と呼ばれています。年令を問わず非常に多くみられるみので、多くの方が治療や相談にみえます。

うつ病の症状

  症状としては、不眠や食欲低下が起き、早朝から午前にかけての時間帯は調子が悪く、起床が困難で、何かをしようとする意欲が湧かず、動こうと思っても体が動きません。気分は沈んだり落ち込んだりしていることが多くなり、考えは悲観的な方向にいきやすく、死んだ方が楽じゃないか・死にたい等の希死念慮を抱くことも少なくありません。集中力や注意力は低下し、頭の中で考えがまとまらず、いつまでもグルグルと同じようなことを考え、仕事をしてもミスが目立つようになってきます。人と話すのも、動くのも、外出するのも億劫になり、家にこもりがちになり、起きることさえ困難になり横になって過ごすことが増えてきます。そのような生活の中で、うつの程度が進むと、体重減少が目立つようになることもあります。

うつ病の際に見られる身体症状

  うつは基本的には精神的な疲れなのですが、その症状は、頭痛・胸痛・目の痛み・腰痛・足の倦怠感その他の体の症状として出ることも非常に多くなります。このため、多くのうつ病の方が、初めは心療内科や精神科ではなく、内科・婦人科・整形外科・脳神経外科その他の科を受診されます。しかし受診しても、特に異常は見当たらないということで、後から心療内科・精神科を紹介され受診することになります。

うつ病の薬物療法と療養のしかた

  成人の方のうつ病の治療は、まずは薬物療法によって症状を和らげるところから始まります。たまり過ぎた蓄積疲労は、自然回復が難しく、蓄積疲労を緩和して気力や体力を回復する抗うつ薬、十分な睡眠をとることを助ける睡眠導入剤、気分を穏やかに落ち着ける抗不安薬などを組み合わせることによって、次第に軽快していきます。うつ症状が強い時は、無理に動こうとするのではなく、気力・体力が次第に回復してくるのを待つ必要があります。このような時期に、無理に動こうとしたり、動く訓練をしようとしたりすると、かえって蓄積疲労が増し、うつ症状が悪化することが珍しくありません。うつ症状の回復には、数か月程度時間がかかることが少なくありません。うつ症状が軽いうちに治療を始めれば、仕事を継続しながら治療を行っていくことが可能です。しかし、仕事に出ることが困難な場合には、主治医と十分相談の上、職場に自宅療養が必要との診断書を提出して、しっかり休養をとる必要があることもあります。

回復期に留意すべきこと

  うつ症状が回復にさしかかると、自分では調子がよく動ける感じがしてくるため、それまではやらなかったような行動(外出・家事など)を試みるようになります。しかし動いて翌日にはダウンして寝込んでしまうようなことも起きます。これは、うつ病の回復期によくみられることですので、心配する必要はなく、エネルギーの予備力が増してくるのを待つのが良いでしょう。そのような時には、ダウンして動けなくなることがないよう、日々の生活でやることを無理のない範囲にとどめるようなセルフ・コントロールが大事となります。治療の第二段階のポイントは、そのように、自分自身の限界を越えないように生活の工夫をしていくことにあります。

職場復帰についての考え方

  しばしば議論になるのが、少し調子が良くなった時に、仕事に復帰するかどうかです。仕事を続けられだけ回復していれば、復帰も可能なのですが、少し良くなったからといって焦って職場復帰を急ぐと、蓄積疲労が悪化して再度休まざるを得なくなることもあるので、注意が必要です。

  毎日の生活が、昼寝や横になっていることがなくなり、外出もできるようになり、普段の生活と大差なくなってくるようになれば、職場復帰も可能となります。職場復帰に際しては、必要な場合には、自宅療養期間中に少しずつ職場に出ることを慣らしていくような職場復帰訓練を選択することも良い方法です。

再発予防のためにしばらくは服薬継続を

  普通の生活に戻れた後でも、抗うつ薬は再発予防のためにしばらくは継続して服薬することが必要となります。生活が軌道にのってくるようであれば、主治医ともよく相談の上で、薬を徐々に減らし、やめていくことについての相談が可能となります。但し、自分の限界を越えないようにストレスを調整するようなセルフ・コントロールは継続して必要となりますし、それをうまくやることができるようになれば、うつ病の再発を予防することにもつながっていきます。

薬ではなく相談が中心になる場合

  なお、うつ症状が出ている場合でも、それがその人の抱えている心の悩みに密接に結びついている場合には、薬物療法ではなく、相談や心理療法が治療の中心となることもあります。

10代のうつ状態

  また、10代の思春期・青年期にある方の場合には、うつ病のような症状が出ていても、薬物療法中心ではなく、親離れをして友人と自信をもって関われるようになる方向での相談が治療の中心になっていきます。

  うつ的な症状があると思った場合には、早めの相談をお勧めします。

(中 康)

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2019年4月1日から、毎週水曜が休診日となりました。

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