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新宿・渋谷からもアクセス良好 | 心療内科・精神科および神経内科のクリニック
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薬を増やすべき時・減らすべき時

薬をどの程度服用するか

 心療内科や精神科にかかって治療を受ける時に、悩み事の相談と並行して薬物療法を必要とすることも少なくありません。その際に、どのような薬をどの程度服用するかが重要なことになってきます。

薬を増やすべき時

 一言でいうと、精神症状がかなり多くみられ、そのことが御本人の苦痛につながっていたり、日常生活を送ることが困難になったりしている場合には、薬は積極的に増やすべきでしょう。

  例えばうつ病の場合、抗うつ薬をどの程度増量するかがしばしば議論の種になります。受診する前よりも大分よくなったからこれで良いという方は少なくないのですが、元々の元気な自分の状態と比較するとまだまだ調子が悪いということが多く見られます。そのような場合には、抗うつ薬を増量してなるべく普通に生活できる状態に薬で改善させる必要があります。その上で、ストレスの元となった問題にどう対処するか、自分の限界を越えずにやっていくためにはどのようにセルフ・コントロールをしながら工夫したらよいかの相談をしていった方が、回復にかかる時間も短くなります。

  但し、御本人の心の中の悩みが大きく、そのことが継続的にうまくいかない状況を生み出しており、そのことから二次的にうつ的な症状が出ている場合には、あえて抗うつ薬を使わずに心の中の悩み事や葛藤を解決することで、うつ的な症状の改善をはかる場合もあります。

  またどのような診断であっても、睡眠が十分にとれずに辛い場合には、まず十分な睡眠をとることが精神症状の回復にとっても大きなこととなります。不眠が続いている場合は、なかなか気分の落ち込み等も改善しづらいものです。

  さらに双極性障害で躁鬱の波がみられる場合、統合失調症で幻覚・妄想・被害的不安が強い場合にも、積極的に薬を使って精神症状を落ち着ける必要があります。

薬を減らすべき時

 一方、精神症状が落ち着いた状態が続いている時は、減薬について検討する必要が出てきます。

  不眠や不安などの症状が落ち着いてきた場合には、睡眠導入剤や抗不安薬を少しずつ減量していくのが望ましいと言えます。その時に、あまり急いで無理な減らし方をすると、不眠や不安が悪化してしまったり、減薬することへの心配がつのってしまったりして、良い影響を及ぼしません。そのため、主治医と相談しながら、細かいステップを作って、徐々に段階的に減らしていくのがコツになります。

  うつ病の場合には、うつ症状が落ち着いてからもしばらくの間は、再発予防のために抗うつ薬の内服を継続した方がよいでしょう。しかし経過をみる中で、生活が安定しており、以前のようなストレスが軽減する、あるいはストレスに対する対処方法がよりよくてきるようになれば、抗うつ薬を減薬する時期と言えるでしょう。抗うつ薬を減量する時も段階的に減らしていき、急激に減らすとかえって焦燥感(イライラ)等が悪化することもあるので、主治医と相談しながら注意して減らしていくことが必要です。

再発予防のために薬を続けた方がよい場合

  但し、薬をやめてしまわずに、しばらく長期間継続した方がよい場合もあります。うつ症状が長引いている場合、双極性障害の場合、統合失調症の場合などは、なるべく減薬をはかりながら、再発予防のために必要な薬は継続していく必要があります。

薬を減らしたい時は是非相談を

  また、減薬したいという希望をお持ちの場合には、自己判断で中断するのではなく、主治医とよく相談することをお勧めします。主治医からみると、続けることが重要で簡単には減らさない方がよい薬と、症状がおさまれば減らしてもよい薬とがあるからです。処方内容を決めるにあたっては、薬を内服したあとの症状の変化や副作用の有無などを主治医に充分に伝えていくことが大事になります。その上で、主治医と相談を重ね、よりよい処方を工夫していくことをお勧めします。

(中    康)